私の月誌(2001年7月)

東京都立大での講師体験

 昨年一昨年と、がらになく東京都立大学で非常勤講師を体験しました。科目は「社会教育学特殊講義(図書館論)」、後期の10月から3月まで計13,4回の授業です。前任の山家さん(都立日比谷図書館)から頼まれ、ま、得がたい経験だし、やってみるか、と引き受けたものです。中身はおまかせ、好きなようにやっていい、と都立大の大串先生からもいわれ、その気になったものです。
 そもそも都立大には司書課程はなく、学生の多くは教職課程あるいは社会教育主事課程の一科目として受講するのです。加えてもともとマンモス授業をする学校ではないので、毎回の授業は1桁を越えたことがありません。それでもあえて図書館論を選んでくれるわけだし、図書館員をめざさないまでも、少なくとも図書館に関心のある学生たちだし、もともと学生は優秀でまじめな校風だし、私としては図書館のファンを増やすというスタンスで臨みました。ひろく浅く、かつ図書館の現状とありようを理解してもらうということです。
 中身は前任の山家さんを踏襲し、公共図書館の歴史、現状、課題を3つの柱として構成しました。歴史では、是枝英子さん、現状では、児童サービス、障害者サービスなど各論で現場の最前線で活躍しているかたがたを特別出前講師としてお願いしました。これには図問研のネットワークを大いに活用させていただきました。ご協力いただきましたみなさん、あらためてありがとうございました。公共図書館を離れてすでに久しい私も1学生になり、楽しく講義を聴くことができました。
 ひょんなことから得がたい「先生」経験をし、とまどいながらもなんとか2年続けることができました。少人数な分、学生とは face to face な授業ができました。でも今思うに、やはり私は現場人間、利用者とカウンターでやりとりしたり、未整理図書の山をどう減らすかといったことを算段している方が性に合っているなとつくづく思います。実際問題として現場を抱えながら、夜の90分の講義を半年間続けることはとてもしんどいことでした。
 今年がどうなるのか、もし継続するとなるとそろそろ準備しなければいけないので、都立大の大串先生に問い合わせたら、カリキュラムの見直しで今年は図書館論は開講しないとのことでした。受講者が少ないからか、あるいは私が未熟だったのか(それはほんとです)、わかりませんが、ほっとした気持ちが8分、心残りが2分といった心境です。
 ここで話はやや飛躍しますが、図書館のあり方、利用法は司書課程だけの授業でなく、情報リテラシー教育の中心的科目としてひろく開設されてしかるべくではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 開講中は授業の概要をホームページに載せていました。今しばらくはそのままにしておきます。関心がありましたらこちらを覗いてみてください。



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