私の月誌(2001年12月)
徳島アーカイブツアーのこと
12月上旬徳島の文書館めぐりをするというツアーに参加しました。これは国立史料館主催の史料管理学研修会に参加した有志による同窓会が企画したものです。同窓会はかつては史料館側の援助があったのですが、数年前から直接の関係がなくなり、今は有志によるメーリングリストによる情報交換が主な活動です。その再発足としての今回の徳島ツアーです。プランナーは毛塚さん、松下さんのお二人、私は一般参加でした。途中参加、途中離脱などあって、のべで20人ほどの参加でした。
初日に見学したのは、徳島県立文書館、徳島県立美術館、徳島県立図書館。夜は鳴門海峡近くのホテルで宴会、鯛づくしの料理はとてもおいしく多いに盛り上がりました。あけて2日めは松茂町歴史民俗資料館、三木文庫。私はここで途中離脱しましたが、他の方は徳島県立脇町高校「芳越歴史館」を見学にいかれました。松茂町歴史民俗資料館は人形浄瑠璃のコレクションもあり、とても充実した資料館でした。三木文庫も藍の資料館としてすごかったです。研修参加以来10年以上経つのですが、ひさしぶりに文書館の裏側をたっぷりと見せていただく得がたい機会となりました。少し疲れましたが。
この同窓会はもともとアーキビスト養成の研修会が母体ということから歴史資料に関わるという共通点があるものの参加者は業際的です。文書館職員、図書館員、自治体史編纂関係者、大学や企業で資料に関わっている方々、歴史を勉強中の学生などなど実に多彩です。それがあるひとつのテーマをメーリングリストでやりとりする際には、多様な立場、経験から多彩な意見や経験が寄せられることにつながっています。執行委員会があるがちがちの組織でないこともあって、肩のこらない会です。もちろんそれでも面倒をみてくださる毛塚さんらがおられてのことですが。今回の徳島ツアーではアーカイブの見学もさることながら、また新たな方と知り合いになれたことが財産となると考えてます。
そして気になることもひとつ、今回参加された方の半数近くがいわゆる正規職員でないことです。文書館の調査員、あるいは大学の講師、自治体史編纂調査員など非常勤の方や求職中の方など。アーキビストは研究職なのか事務職員なのかといった位置づけは私には今ひとつわかりませんが、きちんと身分が保障されていくような制度が公に整備されていくことが望まれます。
飛躍しますが、今年の1月に亡くなったボードビリアン、マルセ太郎がよくこんなことをいっていたということです。「強者は歴史を忘れるが、弱者は忘れない。記憶は弱者にある」。考えさせられることばです。
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