私の月誌(2004年1月)

「カビが出た」後日談

 大原の書庫奥でカビが発生したのは1年ほど前のこと。そのことは「月誌」2003年2月の出来事として書きました。今日はその後日談です。
 その時、カビの発生原因は特定できませんでした。地下書庫の最奥で空調の流れが悪いこと、換気口のかなりの部分を未整理のダンボールがふさいでいたこと、加えて、カビの発生した資料が利用頻度が少なく、資料の材質がカビの発生しやすいものであったことなどが要因として考えられました。とりあえずカビの除去をし、換気口を塞いでいたダンボールを移動してしばらくようすをみよう、といういつもの大原流「とりあえず」の措置をしたものです。
 その後新たなカビの発生はなくやれやれだったのですが、対策のひとつとして除湿機を設置するべく検討していました。先日施設担当部局の職員、庁舎全体の空調管理を委託している業者の方とで図面を見ながら現場を実見したのですが、カビの発生した本当の要因がここではじめてわかりました。
 なんとなんと、実は空調が運転されていなかったのです。移転以来19年間一度も。
 それはこういうことです。該当の場所は当初は貴重書庫用スペースとして設計されていました。そして貴重書庫の空調は書庫の通常部分とは切り離して隣接する特別の機器を設置した部屋から24時間フル運転するための設備の設置が予定されていたのです。ところが当初の設備関係予算の不足からか貴重書庫の設置が先送りされ、そのための空調設備の部屋はがらんどうのまま。本来はその段階で通常の空調に切り替えられるべきであったにも関わらずそれがすっぽり抜け落ちていた。書庫の奥には通常書庫の換気の一部がかろうじて流れ込んでいただけだったのでした。
 調査の結果、書庫奥にも通常の換気を施すための空調スイッチを下から上にあげ、処理終了です。
 そのことは私ももちろん、施設担当職員も、日常空調を管理している業者もこれまでまったく知らなかったのです。そういわれてみれば書庫奥の空調の音は他の書庫と比べて音が小さかった、なんて今だから言えることです。トラブルがあったことで多摩移転以来19年目にしてはじめて地下書庫奥の空気が動いたたわけです。
 職員は異動があるし、業者も変わっています。私も当初のそうしたいきさつは聞いていませんでした。施設管理は日常的には委託業者が行っており、施設担当の職員も必ずしも細部にわたって熟知しているわけではありません。一方業者は契約に盛られていることはするけどそれ以上には踏み込まない。普段そこで仕事をしている私たちは業者はしっかりとやってくれているものと思い込み勝ち。これだと最悪、無責任のトライアングルになりかねません。
 今回の反省は自分の足元は自分でしっかりとみとかないといけない、ほかに誰も気にかけてはくれないと思ったほうがいいこと、そして、普段から施設の職員、専門の業者さんともコミュニケーションをよくしておくこと、でした。
 おそまつ。


私の月誌(目次)に戻る