私の月誌(2004年5月)
大原の資料を地元で見る
私の個人サイトで「大原社研所蔵資料を公開している施設」を作成しています。文書館や図書館、資料館などで、調査研究や展示のために大原の史料を複製し提供している施設を載せたものです。大原の資料を直接研究所に来なくとも最寄の施設で利用できる一覧ともいえます。
大原の資料は多様なニーズにより利用されています。通常は研究者や学生による調査研究目的が多いのですが、一方さまざまな機関による利用もあります。自治体史関係者による史料収集・調査、出版物への掲載、展示会への出品などです。こうした利用は通常の閲覧利用を超えるので、個別に研究所長宛てに資料利用許可申請を出していただき、その利用資料・目的が適切であるかどうかを判断した上で資料を提供します。
こうして提供した資料を日常的に公開しているであろう施設・機関の一覧があれば、大原の資料がどういった利用のされ方をしているかを知るひとつのツールとなり、また、ユーザーにとっては、高尾山の麓にある法政の多摩キャンパスまで来ることなく、関わりの深い地元で大原の資料を利用できる情報の提供にもなります。
そういった関心から、おととしの夏休みころから、Web-site作成の練習も兼ねてこの作業を開始しました。もとよりこれは研究所の業務に直結することであるし、実際許可申請のファイルを見なければできません。当面は個人サイトに載せ、いずれある程度まとまった段階で大原の公式サイトに掲載するということで早川所長(当時)の了解を得ました。
一覧をみるととても興味深いものがあります。いうまでもないことですが、公開されている資料は、それぞれが地域と深く関わる資料であるということです。それらは学芸員、研究者、図書館員の方々が、地域に関わる資料・人物を調査し、収集された努力の結果でもあるともいえます。
大原の資料ですので、そのほとんどは社会運動、労働運動、左翼運動に関わった団体、個人のものです。一般には暗いイメージがつきまといがちですが、地元では「名士」として顕彰されていたり、また歴史史料として保存されることもやや意外な感を受けます。社会運動は貧乏ではできない、活動家は日々の暮らしに追われることなく「運動」ができるほどに裕福な人が多い、とはだいぶ前にある研究者から聞いたことです。なるほどとうなづいたものでした。
掲載している施設は、出張や旅行の折に立ち寄ったりして、できるだけ実際に資料を見るようにしています。私の出身の新潟にある新潟県立歴史博物館は訪問記を以前この月誌に書きました。同館では私のエッセイをたまたま見つけてくださり、施設一覧をともに公式サイトで紹介してくれています。汗顔しきりです。
この作業はまだ始めたばかりで、過去5,6年ほどの使用申請書で確認している範囲のものです。この他にも大原の資料を利用公開している機関をご存じでしたらぜひ情報をお寄せいただけると幸いです。
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