1 全盲の利用者の立場として考える図書館のイメージ
(1) 白い紙の束が沢山あるところ
(2) 恥ずかしさ、うらやましさを強く感じさせるところ
(3) 本は好きでも人とのコミュニケーションの苦手な図書館員が多い
(4) 自由に本が読めない人の気持ちを図書館員にはわかってもらえない
(5) 公に認められた情報ばかり押しつけられるのはうんざり
(6) 頼りにならない書店も多いので図書館を頼りたい
(7) 職員が黙っているので、話しかけるタイミングがつかめない
2 「障害者サービス」とは
(1) 図書館利用に障害のある人々へのサービスである
1.「国際障害分類」からみた「障害」の定義
これまでの考え:impairment、disability、handicap
これからの考え:impairment、activity limitation、
participation restriction
2.「車椅子使用者だけの村」の例え話
(2) 図書館サービスの原点である
(3) 図書館サービスのあらゆるセクションに関わる
3 主な利用対象者
(1) 心身障害者
1.視覚障害(完全失明、光覚弁、手動弁、指数弁、弱視)
2.聴覚障害(ろう、難聴、中途失聴)
3.肢体不自由
4.内部障害
5.知的障害
6.学習障害(ディスレクシア)
7.精神障害
8.言語障害
(2) 入院患者
(3) 在住外国人
(4) 非識字者
(5) 刑務所等への入所者
(6) その他
4 障害者サービスのはじまり
視覚障害者読書権保障協議会の果たした役割
5 資料の種類
(1) 墨字資料(ルビの付いた資料、写真集、漫画、しかけ絵本なども利用価値が高い)
(2) 点字資料
(3) 録音資料
(4) 拡大写本資料・大活字本
(5) 触る絵本(点字絵本・布の絵本)
(6) 触図資料
(7) CD資料
(8) カセットブック資料
(9) ビデオ資料
(10)レーザーディスク資料
(11)フロッピーディスク資料
(12)CD−ROM資料
(13)電子ブック資料
(14)その他の資料
6 障害者サービスに有益な機器・道具類と設備
(1) カセットデッキ・テープレコーダー、DAISY図書再生器
(2) 点字タイプライター・点字盤
(3) レーズライター
(4) 拡大読書機
(5) 小物(ルーペ・拡大鏡・文鎮)
(6) 視覚障害、肢体不自由者用パソコンシステム
(7) ファックス
(8) 誘導チャイム
(9) 点字ブロック
(10)磁気誘導ループ
(11)災害を知らせる非常灯や大きなカード
(12)振動式呼出し器
(13)わかりやすくきめ細かい案内表示
(14)利用者カードへの工夫
(15)その他
7 具体的なサービス
(1) 対面朗読(持ち込み資料の音訳や書架案内も含む)
(2) 障害者用資料の製作(プライベート製作も含む)
(3) 郵送貸出
(4) 宅配
(5) 資料変換者の養成
(6) 筆談や手話によるカウンター対応
(7) 識字教育
(8) 機器の貸出
(9) 障害者サービスも含めた図書館サービスのPR
(10)病院、施設等へのサービス
(11)利用者との雑談
(12)図書館間の交流や協力(日図協、東公図の活動等)
8 これからの障害者サービス
(1) 電子メールやホームページでの資料(情報)の提供と、だれもがアクセスできる ホームページの製作
(2) 識字教育的役割の強化の必要性
(3) 心のケアの場としての図書館も目指そう
(4) DAISYなどのデジタル資料の普及を目指そう
9 障害者サービスの課題
(1) 職員の差別意識と無理解
(2) サービス範囲
(3) 縦割り行政
(4) 利用者・協力者との人間関係
(5) 職員のプロ意識の欠如
(6) 予算不足、人員削減、行革
(7) PRの方法
(8) 著作権問題
10 サービスを行ううえでの心構え
(1)本を知り、人を知り、本と人とを好きになろう
(2)利用者の緊張を取り除くためには語りかけの心を育てよう
(3)あなたもいつの日か、障害者サービスの利用者になるかもしれません
(4) 視覚(聴覚)障害者にも、心の目(耳)はあります
(5) 「してあげる」的発想は相手を見下す形になる可能性があるので注意
(6) 図書館利用に障害のある人も、1人の名前を持った人間です
(7) プライベートな時間にも、様々な立場の人と交流しよう
(8) プライベートな時間を利用して、図書館サービスに関する研究団体に参加しよう
(9) 図書館のサービスに理想や不満を持った時には、図書館関連の雑誌などにあなたの意見を積極的に表明しよう(良き理解者と巡り会えるはずです)
(10)障害者用の新製品の情報は積極的に収集しよう
11 必読書籍・資料
『図書館員選書12・障害者サービス』 日本図書館協会障害者サービス委員会編 日本図書館協会刊 1996年
『ふみだそう、次の一歩を!! 図書館利用の障害ってなんだろう』 図書館問題研究会・図書館利用に障害のある人へのサービス委員会編 図書館問題研究会刊 1998年
『読書権ってなあに〜視読協運動と市橋正晴〜 上・下』 市橋正晴著 視覚障害者読書権保障協議会編 1998年
「公共図書館の使命」(「ユネスコ公共図書館宣言1994年」「図書館雑誌」1995年4月号 vol.89 No.4) 254〜255ページ